高血圧

2000年の第5次循環器疾患基礎調査によると、日本人では30歳以上の人のうち、男性は約53%、女性は40%が高血圧(140/90mmHg以上)という結果でした。高血圧はもともと塩分摂取量の多い食事をとってきた日本人に大変多い病気です。

減塩が強く指導されていますが、塩分を控えたことにより、大きく血圧低下が認められる塩分感受性の良い人、あまり大きく血圧低下が認められない塩分感受性の悪い人が存在します。
しかし、仮に減塩にして血圧が期待していた通り下がらない人においても、癌発生や過剰な水分貯留状態を作る点etc.から考えると、塩分を控えることの意義は大きいと考えます。

治療

それでは、実際に高血圧の治療はどのように進められるべきなのでしょうか?

前述した通り食事の面は最も重要ですが、著名な高血圧を除き、運動療法が極めて大きく効果を示します。
運動による血圧低下作用は大きく分けると二つあり、短期的効果と長期的効果があります。ここでの運動というのは、重いダンベルを上げる運動ではなく、いわゆるウォーキング、ジョギング etc.の有酸素運動です。

よく歩いたりする運動でも、血圧が上がると思われる方が多いかもしれませんが、ほとんど例外なく、血圧が下がり、脈拍が上昇しているのです。これは短期的な運動による血圧低下効果です。
運動を長期間続けてくると今度は血管の柔軟性や血流改善が進むことにより、血圧は有意に低下してくるのです。これを長期的効果といいます。


ですから”少し血圧が高いな”と言われた方は、ぜひ運動(ウォーキングetc.)をして下さい。毎日血圧を手帳につけていると血圧が低下してくるのを実感するはずですよ!

運動その運動をしても効果が十分でない方、あるいは、忙しくて運動できない方は血圧が高いままでいるのは動脈硬化をどんどん進ませるので、薬物治療が必要になってきます。

代表的な降血圧薬

Ca拮抗薬(アムロジン、アダラートCR etc.)
ARB(ディオバン、オルメテック etc.)
利尿剤(ラシックス、アルダクトンA etc.)
βブロッカー(テノーミン、セロケン etc.)
αブロッカー(カルデナリン、ミニプレス etc.)
ACE阻害薬(ロンゲス、エースコール etc.)

それぞれの利点を生かして組み合わせて治療していきます。

当クリニックの高血圧患者さんの診療プラン

まず、しっかり自宅にて血圧測定して、血圧手帳をつけて頂く。
食事指導、運動療法の実践。
合併症の評価(採血、胸部レントゲン、心電図、特に頸動脈エコーでの動脈壁肥厚、プラークの有無の評価)
薬物療法をすべきか決定し、する場合はその人に合った降圧薬を上記の降圧薬から選択して、治療を開始する。

現在は血管と共に体が老いると考えられています。アンチエイジングという言葉を最近よく聞かれると思いますが、まさに、この高血圧治療はこのアンチエイジングのさいたるものなのですよ。一緒に高血圧の治療をやっていきましょう。

家庭血圧

血圧には病院やクリニックで測る「診療室血圧」と「家庭血圧」があります。病院などでは緊張から数値が高めに1030mmHgもの差があることがあります。家庭血圧はリラックスした状態で測定でき安定しているので、自分の血圧水準や、その変化を認識することができます。

家庭血圧の測り方

基本は毎日同じ時間に同じ条件で測定することです。毎朝起床後、朝食前に測るのが最適とされています。
朝と晩など1日に数回測定することで血圧変動の傾向をつかめます。
市販の血圧計は大きく分けて上腕で測定する機種と手首で測る機種があり、一般的なものは4千円前後で売られています。

日本高血圧学会は、より正確な測定が必要な人には上腕タイプを推奨しており、健康づくりのために家庭血圧を測定する習慣を勧めています。実際に毎日血圧を測ると、塩辛いものをたくさん食べたり、運動不足が続いたりした時に、血圧が上がるのが分かるようになります。

また最近発表された睡眠時間と病気に関する複数の調査によると、睡眠時間が短いほど糖尿病、心臓血管障害などによる死亡率が高くなることがわかってきています。
最高血圧135Hg以上、最低血圧85Hg以上が続いたら医療機関などで診療を受けるのがよいでしょう。
飲酒過多や慢性的疲労での高血圧は、休肝日を設けたりしっかりとした睡眠をを心がけたいです。

女性の更年期以降の上昇や、ダイエットのしすぎによる栄養不足からの低血圧など、健康リスクのサインとなりますので注意が必要です。

現在、国内での高血圧患者は4,000万人とも言われています。健康な時からの血圧測定の習慣は、自分の体の状態を知る良い機会になります。血圧が変化したときの不調を記録することで、さまざまな病気を予防できる可能性が高まります。

*家庭血圧 2012年8月25日(土)日本経済新聞掲載記事より