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内科・循環器・内分泌代謝(甲状腺・糖尿病)・皮膚科

甲状腺疾患

('03、'04年 公立高島総合病院 甲状腺専門外来を担当)

1、バセドウ病

2、慢性甲状腺炎(=橋本病)

3、無痛性甲状腺炎

4、亜急性甲状腺炎

5、結節性甲状腺腫  について説明します。(5以降は随時アップします。)

1、バセドウ病
ⅰ)定義 :今のところ原因は不明で、遺伝的素因にいくつかの環境因子が加わって発症します。甲状腺にあるTSH(Thyroid stimulating Hormone)受容体に対して、自己抗体が産生され、甲状腺ホルモン産生が過剰となる病気です。
ⅱ)症状 :発汗、食欲亢進、暑がり、体重減少、眼球突出、皮膚掻痒感、動悸、体動時息切れ、ふるえ、多動、下痢、不眠無月経...etc.

(約10%の患者では食事量が増える為に体重減少ではなく、体重増加することがあります。その他、びまん性甲状腺腫やGraefe徴候振戦etc.も存在することがあります。)Graefe(グレーフェ)徴候:下方視(下を見つめる)の時、上眼けん運動が眼球運動より遅れ、角膜の上に白目の部分が残る徴候。

ⅲ)検査 

(ⅰ)採血(空腹時でなくでも構いませんが、甲状腺ホルモン過剰により血糖値が高くなることがあるので、空腹時の方が情報量が増えます。)

(ⅱ)甲状腺エコー

(ⅲ)放射線同位元素99mTc摂取率

 通常は採血、甲状腺エコーのみで評価可能です。ただし、後述する無痛性甲状腺炎とどうしても区別がつかない時は(ⅲ)の99mTc摂取率の検査をします。採血はTSH (甲状腺刺激ホルモン)、FT3、FT4(甲状腺ホルモン)、TSH受容体抗体で評価します。

ⅳ)治療 :1、薬物療法  2、放射性アイソトープ治療  3、手術療法
長所
短所
薬物療法
簡便

外来で治療できる

治療期間が長い
アイソトープ治療
治療期間が短い

甲状腺が縮小する

妊娠中は禁

入院が必要、不可逆性

手術療法
治療期間が短い

甲状腺が縮小する

効果不安定

入院が必要

日本では、薬物療法が最も主流ですが、海外(アメリカやヨーロッパ)ではアイソトープ治療も多く行われています。

(1)薬物療法 :チアマゾール(MMI)とプロピルサイオウラシル(PTU)が用いられます。
MMI
PTU
半減期
6〜9 hr
1〜2 hr
副作用
・薬疹
>
・無顆粒球症
・特異副作用
インスリ自己免疫症候群
MPO、ANCA陽性糸球体腎炎
それぞれ薬剤を何錠から服用するか、あるいは、どのように薬を減らしていくかはそれぞれの患者さんの状態で異なりますのでご相談下さい。 最近の報告では、FT4の値が5以上か否かで、初期投与量を調節して投与する事が効果面及び副作用発見率の面で、望ましいと言われています。定期的に採血して、甲状腺機能を確認しながら、薬剤量を調節します。だいたい1〜2年ぐらい寛解までにかかると考えられます。
(2)放射性アイソトープ治療

 131 I の経口投与し、24時間の甲状腺131 I 摂取率を測定し、有効半減期を算出して、投与量を決定し治療量の131 I を投与します。この治療にはヨード制限が治療前及び治療中に必要です。131 I の治療効果は約2〜3週目から出現し、最大効果は約6〜12ヶ月に認められます。甲状腺機能が変動している間は、TSH、FT3、FT4を1〜2ヶ月毎に測定します。

(3)手術療法

 甲状腺腫大が著名な方や薬物治療に反応しずらい方は甲状腺亜全摘の適応となります。抗甲状腺薬(MMI,PTU)で再燃を繰り返す方や早く改善したい方には良い適応ですが、残り量の程度により永久的に甲状腺機能低下となることがあります。

2、橋本病(慢性甲状腺炎)
ⅰ)定義 :1912年(大正元年)に日本人の橋本により発見された病気の為、橋本病と名付けられていますが、後に自己免疫機序により発症する自己免疫性甲状腺炎であることが判明し、慢性甲状腺炎とも呼ばれます。甲状腺における自己免疫によって病気が発症しますが、どのような機序で甲状腺に対する自己免疫が発生するのかは現在もまだ不明です。
ⅱ)症状 :軽症例まで含めると、女性の約30人に1人が罹患しているともいわれ、全甲状腺疾患中、最も頻度が高い病気ですが、全く症状のない人もいます。

びまん性の甲状腺腫大、のどがつまる・圧迫される感じがする、全身倦怠感、肩こり、体重増加、便秘、耐寒性の低下..etc.

ⅲ)検査 

甲状腺エコー、採血(抗TPO抗体、抗サイログリン抗体、TSH、FT3、FT4)、甲状腺穿刺(細胞診が必要なこともあります)

ⅳ)治療 :甲状腺ホルモンが正常な人では、特に何も治療は必要としないが甲状腺が大きく、圧迫感..etc.が強い時は縮小効果を期待して治療する場合があります。甲状腺ホルモンが低下している人では、甲状腺ホルモンの補充が必要です。
3、無痛性甲状腺炎
ⅰ)定義 :甲状腺に発生する組織の破壊に伴って生じる一過性の炎症です。橋本病やバセドウ病を基礎に生じることが多いとされるが、どのような機序で甲状腺ろ胞の破壊が始まるか、あるいは消退していくのかは全く不明です。
ⅱ)症状 

(1)甲状腺中毒症状の出現時                                         

   バセドウ病と同様、動悸、体重減少、発汗過多、食欲増進etc.の甲状腺中毒症状。甲状腺の疼痛や圧痛はなく、これが亜急性甲状腺炎との鑑別点でもあります。

(2)甲状腺機能低下症状の出現時〜回復時

   甲状腺中毒症状から続いて、機能低下に向かっていきます。甲状腺機能が正常になり、そのままで推移する人もいますが、少なからず正常以下にまで低下する人がいます。寒がりや易疲労感、むくみっぽい感じ、甲状腺腫大を自覚する場合もあります。    

ⅲ)検査 

甲状腺関連ホルモン(TSH、FT3、FT4)、TSH受容体抗体と臨床経過でほぼ評価可能ですが、まれに、バセドウ病で多く認められるTSH受容体抗体が陽性となることがあります。鑑別が困難な時は、放射性同位元素99mTcを利用した甲状腺摂取率で評価します。

ⅳ)治療 :甲状腺機能低下の高度な場合はチラージンSで甲状腺ホルモンを補充しますが、一過性甲状腺機能低下症であることも多いので、定期的に採血して、甲状腺ホルモンの推移をみて、不必要にホルモン補充療法を続けるようなことはあってはなりません。
4、亜急性甲状腺炎
ⅰ)定義 :上気道感染に引き続いて起こりやすく、ウイルス感染症が多く認められた時期に一致して発症することが多いが原因とみられる特定のウイルスはまだ同定されていません。甲状腺に起きる非化膿性の炎症と定義されます。
ⅱ)症状 :(1)炎症症状と(2)甲状腺機能亢進症状の二つに分けて考えます。

(1)炎症症状  

・前駆症状としてしばしば上気道感染症状を有します。

・38〜40℃程の発熱を認めることがあります。

・甲状腺の自発痛、圧痛を認めますが、のどの痛みとして自覚する場合も多く、風邪と見間違えられることもあります。

・一般的に硬い甲状腺腫と認めます。

(2)甲状腺機能亢進症状

バセドウ病や無痛性甲状腺炎で述べていることと同様に動悸、体重減少、発汗過多、全身けんたい感、息切れなどを生じることがあります。

ⅲ)検査 

採血(白血球、CRP、血沈、甲状腺ホルモン)、甲状腺超音波エコー、

ⅳ)治療 :炎症所見が強い時はプレドニン、弱い時はお薬は必要ありません。頻脈が高度な時はβ-blockerを使用します。メルカゾールetc.の抗甲状腺薬は全く無効です。

      

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