定義
甲状腺に発生する組織の破壊に伴って生じる一過性の炎症です。橋本病やバセドウ病を基礎に生じることが多いとされるが、どのような機序で甲状腺ろ胞の破壊が始まるか、あるいは消退していくのかは全く不明です。
症状
甲状腺中毒症状の出現時 |
---|
バセドウ病と同様、動悸、体重減少、発汗過多、食欲増進etc.の甲状腺中毒症状。甲状腺の疼痛や圧痛はなく、これが亜急性甲状腺炎との鑑別点でもあります。 |
甲状腺機能低下症状の出現時〜回復時 |
甲状腺中毒症状から続いて、機能低下に向かっていきます。甲状腺機能が正常になり、そのままで推移する人もいますが、少なからず正常以下にまで低下する人がいます。寒がりや易疲労感、むくみっぽい感じ、甲状腺腫大を自覚する場合もあります。 |
検査
甲状腺関連ホルモン(TSH、FT3、FT4)、TSH受容体抗体と臨床経過でほぼ評価可能ですが、まれに、バセドウ病で多く認められるTSH受容体抗体が陽性となることがあります。鑑別が困難な時は、放射性同位元素99mTcを利用した甲状腺摂取率で評価します。
治療
甲状腺機能低下の高度な場合はチラーヂンSで甲状腺ホルモンを補充しますが、一過性甲状腺機能低下症であることも多いので、定期的に採血して、甲状腺ホルモンの推移をみて、不必要にホルモン補充療法を続けるようなことはあってはなりません。