甲状腺に異常があるのでは?と言われた方へ

甲状腺が腫れていると健診や人間ドックで指摘され、そのまま放置している方は甲状腺を専門に診るクリニックでの診療をおすすめ致します。
もし、検査の結果 、悪性を疑われた際は私の勤務する表参道にある伊藤病院、東京慈恵会医科大学付属病院その他医療機関に迅速にご紹介できる体制をとっておりますので、ご心配なくご来院ください。(腫れていたとしても大部分は良性なのですから、放置せず早めに専門の医療機関を受診して頂き安心して生活して頂けることを切に願っております。)

エコー下細胞診

甲状腺などにはれものができた場合、そのはれものが良性なのか、悪性(がん)なのかを判断するために細胞を採取し、行う検査です。
正確に細胞を採取するために、エコー(超音波)で内部を確認します。検査は特殊なアダプターを取りつけ、ガイドを見ながら正確に針生検を行うことが可能です。
検査自体は5分程で終了します。痛みも採血と同程度でほどんどありません。

甲状腺とは

まず、甲状腺という言葉を初めて聞かれる方も多いと思いますので簡単にご説明します。

甲状腺は皆さんの首の前にあります。詳しく言うと、甲状軟骨の下で輪状軟骨の前にあります。
甲状腺ホルモンというホルモンを生成している場所です。甲状腺ホルモンは細胞を成長させたり、食欲の変化を来したり、脈拍を調節したり、と様々な作用を持っています。
後ほど、詳しくご説明しますが、体の様々な部位にに影響を持つので、様々な症状として現れます。
そのため、甲状腺の病気とは疑われずに循環器内科や消化器内科、精神科、婦人科、皮膚科などで診察されて、やっと当クリニックや私が非常勤で勤務する表参道の甲状腺専門病院の伊藤病院(私は月曜日の午後 新患外来を担当しておりますがホームページ上では記載されていません。お電話にてご確認して下さい。)へいらっしゃる患者さんを多く経験します。

何らかの症状がなかなか良くならない時や後に述べる症状が持続している際は甲状腺のことを少しでも考えることがとても重要です。
それではよく経験する場面でご説明しましょう!

1.甲状腺が腫れているのでは?と検診や人間ドックで指摘された場合

甲状腺がどのように腫れているかを触診します。

全体が腫れているのか?それともどこかがぼこっと腫れているのか?硬いのか柔らかいのか?可動性が良いのか悪いのか?などを触診で調べます。

触診に熟練した医師が診察すると、ほとんどの状態を把握できます。
 実際には甲状腺エコー(超音波検査)にて甲状腺内部の異常の有無を評価します。お水がたまっている場合もありますし、良性の結節を認めることもあり、また悪性を疑わせる腫瘤を発見することもあります。針を刺して精査する場合もありますが、まずはその必要があるかをエコーにて判定します。

次に採血をします。
びまん性に(全体に、という意味です。)甲状腺が腫れている場合は、特に橋本病やバセドウ病の可能性がありますので、甲状腺ホルモンの異常がないかや、自己抗体の有無を評価します。
よく採血だけ検査をして甲状腺は正常ですよ、と言われて何年か後に当クリニックや私が非常勤で勤務する表参道の甲状腺専門病院の伊藤病院に来院される方をよく経験しますが、ほとんどが甲状腺ホルモンしか評価していません。 自己抗体の評価をしなければ多くの橋本病は見過ごされてしまうのです。(多くの橋本病の方はホルモンが正常ですから!)

それぞれの疾患でその後のフォローアップは異なりますが、橋本病と診断された場合は、もしその際、甲状腺ホルモンが正常でも半年毎の採血と一年毎のエコー(超音波検査)はとても重要です。これについては後ほど詳しくご説明します。
また、バセドウ病と診断されホルモンが異常である場合は治療が必要です。内服治療、アイソトープ治療、手術治療の3つがあります。それぞれ良い点、悪い点がありますので、当クリニックや私が非常勤で勤務する表参道の甲状腺専門病院 伊藤病院(私は月曜日 午後新患外来 ホームページ上では記載ありませんがお電話にてご確認できます。)へご来院してご相談下さい。

2.TSHというホルモンが軽度正常値よりも高い、あるいは低いと指摘された場合

TSHというホルモンは頭の下垂体というところから分泌されています。このホルモンにより甲状腺から作られるホルモンの量を調節しています。
下垂体腫瘍や視床下部腫瘍を除けば、一般的に甲状腺ホルモンが何らかの原因により高い時(あるいは高かった時)にTSHは低下します。また反対に甲状腺ホルモンが低い時(あるいは低かった時)にTSHは上昇します。つまり、TSHが高かったり、低かったりしたということは、何らかの変化が甲状腺で生じた(あるいは生じている)可能性が高いのです。
このように指摘された場合もフォローアップの採血をすることがとても重要ですし、甲状腺内部の構造上の変化があるかを調べる為にエコーの検査も大事です。採血だけではなく、エコーもできるクリニックにて診察を受けることをお勧めします。
多くの場合は一時的に変化しているだけなので、心配ないことが多いですが、病気の初期を示唆することもありますので、何も症状がなくても一度は甲状腺を専門にみるクリニックにて検査して下さい。

3.他で風邪と診断され薬を飲んだが、なかなか首の痛みが変わらない、熱がなかなか下がらない場合

甲状腺炎の可能性があります。
甲状腺の触診をすればほぼ診断がつきます。もちろん超音波検査(エコー)にて甲状腺の破壊があるか否かを評価しますが、ほとんど問診と診察のみで診断がつく疾患なので、上記のような場合はすぐに当クリニックや表参道の甲状腺専門病院の伊藤病院までご来院下さい

痛みが移動する、首の前を押すと飛び上がる程痛い、痛み止めを飲むがなかなか熱も痛みも変化ない、などの症状の時は要注意です。亜急性甲状腺炎の場合はしっかり炎症を抑えるお薬(ロキソニンやカロナールなどの非ステロイド性の抗炎症鎮痛薬ではなく)が必要なことが多いのです!

4.家族に甲状腺の病気の人がいるので心配、あるいは家族より甲状腺の病気では?と指摘された場合

確かにご家族に甲状腺の病気の方がいらっしゃる場合は、甲状腺疾患の頻度は高くなります。少し以前より首まわりが太くなったような気がする、あるいは後ほど述べる症状を認める場合は一度は甲状腺に関する採血とエコーの検査をしましょう。
もちろん、家族や親戚に甲状腺の病気の方がいなくても甲状腺の病気を発症することもありますし、また逆に家族は親戚に甲状腺疾患の方がいらしても、甲状腺の病気に必ずなるとは限りませんから過度な心配はしませんように。

5.以前に橋本病と言われているけれど、どうしたら良いの?

橋本病は別名、慢性甲状腺炎と言います。
慢性的にリンパ球という白血球の一種が甲状腺を刺激し甲状腺に炎症を起こさせる病気です。甲状腺ホルモンが正常な方もいますが、機能低下になることもあります。また長い過程の中で、無痛性甲状腺炎と言って痛みのない甲状腺の炎症を併発することもあります。その際はバセドウ病と同じようにホルモンが高くなってしまうことさえあります。
甲状腺ホルモンが高い、というだけでバセドウ病と診断され誤って抗甲状腺薬(メルカゾールやチウラジール)を処方され症状がひどくなってしまう方もいまだに多く診察します。以前に橋本病と言われた方で、動悸がする、汗が多いなどバセドウ病を疑わせる症状があったからと言ってすぐに抗甲状腺薬を服用するのは大変危険です。必ず当クリニックや私が非常勤で勤務する表参道の甲状腺専門病院 伊藤病院(私は月曜日 午後新患外来 ホームページ上では記載ありませんがお電話にてご確認できます。)へご来院してご相談下さい。びっくりするぐらい誤って治療を受けていること多いのです!!

>>橋本病について詳しくはこちら

日常生活の注意点

日常生活の中で気をつけることは3点あります。

1.定期的に採血とエコーをすること。(症状がなくても半年毎に採血すること、一年毎にエコーをすること)

甲状腺機能低下症を初期から自覚することはあまりありません。かなり進行してから来院され発覚することが多いので症状がない時でも採血することが 重要なのです。また甲状腺内部に変化を来すこともあるので一年毎のエコーも大変重要です。

2.妊娠したり、出産後はとてもホルモンが崩れやすくなりますので、細かな採血フォローが重要です。

特に妊娠中、機能低下のまま妊娠を経過すると胎児機能に問題を来すことがあります。そのため、なるべく妊娠したとわかったら甲状腺を専門にみるクリニックへ受診してホルモン異常がないかを評価することをお勧めします。

3.毎日のイソジンうがい薬によるうがい、昆布の大量服用は避けましょう。

甲状腺機能低下につながります。ただし、風邪の際の数日間のイソジンの使用は全く問題ありませんし、普通に昆布を食用することは何ら問題ありません。また海藻類全般を避けるように指導する医師がおりますが、昆布以外は全く心配するヨードの含有量ではありません。 つまらない生活制限はやめて正しい知識をつけて下さい。なんだ、海苔が好きだったのに、止めていました、などと伺うとかわいそうだったなあと感じます。もちろん、アイソトープ試験や治療の際のヨード制限食の際は細かく制限が必要です。ご参考までヨード含有量の多いものを下記に記載しておきます。

  • 昆布 5g;ヨード含有量8340.4μg
  • わかめ5g;ヨード含有量501.7μg
  • のり1g;ヨード含有量62.5μg
  • ヨード卵1個;ヨード含有量400-700μg
  • いわし一尾;ヨード含有量293.7μg

甲状腺疾患を疑わせる症状

甲状腺疾患を疑わせる症状について下記に示します。こちらに該当する症状があれば一度は甲状腺のことを考えてみてはいかがですか?
男性、女性、年齢によっても症状の現れ方は変わりますが下記のような症状はよく拝見します。

内分泌科 甲状腺腫大
循環器科 動悸、息切れ
神経内科 手が震える、痴呆、筋力低下
腎臓内科 顔面浮腫(顔の浮腫み)
消化器内科 肝機能異常、下痢、嘔吐、嘔気、食欲低下
一般内科 倦怠感(疲れ)、体重減少、体重増加、発汗、高熱、微熱、下痢、便秘
精神科、心療内科 睡眠障害、微熱、うつ症状、痴呆
婦人科 月経異常(生理不順)
皮膚科 皮膚のかゆみ、毛髪の脱落
整形外科 筋肉痛
耳鼻科 めまい、嗄声

などです。まさに様々な症状を呈するため、何か体調の悪いことがあれば、特に女性で上記の症状を自覚する場合は 甲状腺を専門にみるクリニックでの検査をお勧めします。