医療者の使命

当院では2020年9月17日より東京都と直接契約を行い、自院にて新型コロナウイルスPCR検査を行えるようにした。私たちのクリニックは非常に幸運なことにコロナウイルス感染症が流行してからも一部で聞かれる医療機関離れをほぼ全く経験することなく、開業以来、月当たりの来院患者数は増加の一途を辿っている。

既に十分な患者さんが来院して頂いているのに、なぜ敢えて発熱や感冒症状を訴える患者さんの診察を積極的に行うのか?

風邪の人がいる診療所には行きたくない、という患者さんが少なからずいるのに、なぜ風邪症状の人も受け入れて診察するのか?

これは内科医の使命、いや医療者の使命だからである。

大変残念なことに、私の友人である医師から、こんなことを少し前に聞かされた。

僕は診療したいと思っているのだけど、受付スタッフや看護師などがコロナウイルスを怖がるので、風邪症状の人は受け入れないで欲しいと言われている、と。

私のクリニックでは受付スタッフ、看護師、検査技師、栄養士の誰ひとり、そのようなことを私に言ってくるスタッフはいなかった。もしかすると私に言わないだけで少し心配に思っているスタッフもいたのかもしれないが、少なくとも心配で診療に携わりたくない、と訴えてくるスタッフはいなかった。普段からきちんとした身体作りをして、感染対策を怠らなければ感染する可能性はゼロではないが限りなくゼロに等しい、と私が言い続けていることを信じてくれているからだと思う。またそれだけでなく、医療に携わるものとしての使命だとスタッフ全員がそれぞれ思っているからなのだとも思う。そのようなスタッフと一緒に働けることはこれ以上ない喜びである。

誰でも寝不足だったり、心配事が続いたり、栄養不足だったりすれば具合の悪くなる時があるでしょう。そのような人が困って来院しているのに、当院では診察は難しいです、なんて言えるのか?当たり前だが言うべきではない。

当院では基本的に全て予約制で診療を行っている。しかし、受付終了時間までに来院した方の診察を断ることは一切しない。どんなに長い時間をお待たせしてしまうかもしれないが、それでも良いと言って診療を受けたいと訴えて来られる患者さんを帰すことは絶対にしない。

医療者はそのような頼られる存在でなければいけないのだと思う。

いつもスタッフにこのように伝えている。医療者、つまり医療に関わる私たち(受付、看護師、検査技師、栄養士)全員が身体の具合が悪いと訴えて患者さんがクリニックに来院されたら、どんなに遅くなっても、どれほど大変でも診察するのが私たち医療者の使命なのだと。

私たちが日頃から診察しているかかりつけの患者さんにはいつも説明している。具合が悪くなったら必ず診察しますから心配しないで連絡を下さい、と。そして必ず助けられるように最善を尽くします、と。

来院される方全ての方に対して、全力でサポートするので新型コロナウイルスを恐れすぎず、気持ち良い生活を送って欲しいと切に願っている。また普段の外来通院の方の診察と風邪症状の方の診察は完全に分けて行っているので、心から安心して来院して欲しいと思っている。

院長 五十子 大雅

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